林 基弘の
「至高の定位放射線治療を目指して」
Cavernous
sinus lesions
海綿静脈洞内病変
特徴と現状
海綿静脈洞内病変として、代表的なものは髄膜腫や下垂体腺腫、そして海綿静脈洞血管腫があります。その他に、動眼神経鞘腫・外転神経鞘腫・類上皮腫・偽腫瘍など稀ではあっても鑑別診断必要な病変もあり、腫瘍生検が検討されることも少なくありません。

海綿静脈洞は頭蓋底に位置し、開頭よりむしろ経鼻手術(ハーデイー手術)にて到達し得る「下垂体(=ホルモンの中枢)」のまさに両脇に当たります。これは脳を還流した静脈血の一部が流入し、心臓に戻っていく経路の一つに当たります。なので、その壁に少し穴を開けただけでも静脈性の出血がとめどなく湧き出てきてしまいます。さらに、内部に位置する内頸動脈まで傷つけてしまうと、激しい動脈性の出血が起こり、出血多量にて術中死に至る可能性もある危険な場所ともいえます。まさにNo man’s land(誰も手を付けることが許されない場所)として、我々脳神経外科医の中でその名を轟かせています。さらに厄介なのは、種々の脳神経(三叉神経第1枝2枝、滑車神経、動眼神経、外転神経など)がクモの巣のように内部に張り巡らされ、腫瘍と血管と神経が巻き込まれています。

10年前までは「手術は無理、ガンマナイフもすべてに照射すると、複視などの脳神経麻痺が出てしまいます」と。それでもガンマナイフしか頼る治療がなかったのです。 それが今、ガンマナイフ含む定位放射線手術(SRS)にて大きく革新しました。超薄スライスMRIにおける独自条件下での特殊撮像法(2006年、林がJNS誌に世界初として報告)にて、神経を1本1本描出することができるようになり、現在の高精度照射治療機器にて、0.2ミリ以下単位で避けながら、かつ内頚動脈へも過剰照射をせずして腫瘍病変を余すことなく叩くことができるようになったのです。
下垂体及び海綿静脈洞
海綿静脈洞における微小解剖
(出典:手術のための脳局所解剖学/中外医学社/馬場元毅先生より)
下垂体腺腫はホルモンを過剰分泌する「機能性腺腫」であっても、両耳側半盲(両側視野外側が欠ける)で発症する「非機能性腺腫」であっても、プロラクチノーマ(薬物療法が基本)を除く腺腫治療の第一選択は外科手術(経鼻手術)であると考えています。

その際、すでに海綿静脈洞内進展を来しているもの、術後再発として海綿静脈洞内進展を果たしたものなどが、定位的放射線手術(SRS)の適応となります。割合としては「非機能性腺腫」が性質上多くはなりますが、「機能性腺腫」も稀ならずあります。特記すべきは後者の場合、より高い辺縁線量の処方が必要となるので、各脳神経の耐容線量を計算して治療計画を立てなければならないので技術を要します。とくに動眼神経と外転神経の海綿静脈洞内における微小解剖学的把握が重要であり、同部への見識・経験・技術が高いレベルで要求されます。

髄膜腫においては海綿静脈洞におけるどの壁(硬膜)から発生しどのように成長していったのか?という「腫瘍の4次元的位置把握」が重要になります。また、海綿静脈洞血管腫はかなり血液に富んだ腫瘍であることから摘出はほぼ不可能で生検がやっとです。いずれも上述した下垂体腺腫治療計画同様に卓越して治療計画手技がその後の治療成績を左右します。その他、治療対象となる同部神経鞘腫(動眼・外転神経)はかなり稀な疾患であるため、case by caseで術後後遺症の可能性を考慮しながら治療を計画しています。
海綿静脈洞内腫瘍(神経鞘腫)症例に対する
ガンマナイフ治療計画
定位放射線治療の臨床成績と経過観察
下垂体腺腫はホルモンを過剰分泌する「機能性腺腫」であっても、両耳側半盲(両側視野外側が欠ける)で発症する「非機能性腺腫」であっても、プロラクチノーマ(薬物療法が基本)を除く腺腫治療の第一選択は外科手術(経鼻手術)であると考えています。その際、すでに海綿静脈洞内進展を来しているもの。術後再発として海綿静脈洞内進展を果たしたものなどが、定位的放射線手術(SRS)の適応となります。割合としては「非機能性腺腫」が性質上多くはなりますが、「機能性腺腫」も稀ならずあります。特記すべきは後者の場合、より高い辺縁線量の処方が必要となるので、各脳神経の耐容線量を計算して治療計画を立てなければならないので技術を要します。とくに動眼神経と外転神経の海綿静脈洞内における微小解剖学的把握が重要であり、同部への見識・経験・技術が高いレベルで要求されます。髄膜腫においては海綿静脈洞におけるどの壁(硬膜)から発生しどのように成長していったのか?という「腫瘍の4次元的位置把握」が重要になります。また、海綿静脈洞血管腫はかなり血液に富んだ腫瘍であることから摘出はほぼ不可能で生検がやっとです。いずれも上述した下垂体腺腫治療計画同様に卓越して治療計画手技がその後の治療成績を左右します。その他、治療対象となる同部神経鞘腫(動眼・外転神経)はかなり稀な疾患であるため、case by caseで術後後遺症の可能性を考慮しながら治療を計画しています。
海綿静脈洞内腫瘍(血管腫)症例ガンマナイフ後経過
1.転移性脳腫瘍
2.髄膜腫
3.聴神経腫瘍
5.脳動静脈奇形
6.三叉神経痛